【注意】本記事はドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 シーズン1」のネタバレを含みます。
また、この先の展開についてもネタバレしてしまう可能性があります。
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実は超重要!ヌーメノールの「白の木」
ドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」に登場する「白の木」は、物語の展開に重要な役割を果たしています。
第3話、ヌーメノールに流れ着いたガラドリエルは、サウロンとの戦いに協力するよう女王に要請します。
女王ミーリエルはこれを拒否、ガラドリエルをひとり中つ国へ送還しようとしました。
これは実質的な国外追放でした。
ところが、ガラドリエル送還の直前、女王は決断を覆します。
そして軍を編成し、ガラドリエルと共に中つ国へ進軍するのです。
女王が心を変えたのは、ガラドリエル送還の船が出ようというまさにその時、「白の木」の花が散ったからです。
なぜ「白の木」にはこれほど影響力があるのでしょうか。
それは、「白の木」の起源が遥か昔にあり、神々につながるものだからです。
「白の木」の起源はヴァリノールにある
ドラマ第1話冒頭の、ガラドリエルの語りにこんな部分があります。
「世界はあまりに若く、太陽さえも登っていなかった」
少女のガラドリエルは、神々の地アマンのヴァリノールにいます。
(ガラドリエルたちエルフが神々の地にいる理由と経緯はこちら↓)
ガラドリエルはエルダール?ノルドール?エルフの分類について「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」より
この頃、世界に太陽はありませんでした。
アマンの光源となっていたのは、2本の木です。
少女のガラドリエルが兄と家路につくシーンで、大きな木が映し出されます。
ほんの短い時間ですが、よく見ると木は2本あるのがわかります。
この木をラウレリンとテルペリオンといいます。
この2本は神々のひとり、ヤヴァンナによって創られました。
2本は交互に光を発し、その周期によってアマンの一日と暦が決まっていました。
(ヤヴァンナなど神々についてはこちら↓)
モルゴス、サウロンは神に近い存在?「ヴァラール」との関係は「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」より
やがて戦いが始まり、この2本が輝きを失う様子が描かれます。
2本の木は、モルゴス側の勢力によって滅ぼされてしまうのです。
しかしこれらによく似た木が、アマンの別の場所にありました。
まだ平和な時代に、ヤヴァンナがテルペリオンによく似た木を作り、ヴァリノールのエルフたちに与えていたのです。
その木をガラシリオンといいます。
ガラシリオンは光を発することはありませんでしたが、多くの苗を生じ、移植されました。
モルゴスとの戦いが終わった後、エルフがこの苗をヌーメノールに贈りました。
それが育ったものが「白の木」です。
ミーリエルがガラドリエル追放をやめた理由
かつてヌーメノール人は、神々とそれに近いエルフに敬意を持ち、交流もありました。
エルフとともにモルゴスと戦い、その褒美として神々からヌーメノール国を与えられたという経緯があるからです。
ガラシリオンの苗が送られたのも、そのような交わりの中でのことです。
ドラマ第3話で、ミーリエルのセリフにこんなものがあります。
「白の木の花が散るとき、ヌーメノールに危機が迫る」
「花の散るはヴァラールの流す涙」
「白の木こそは、神々が我らの日々の行いに目を光らせる生きた証し」
「白の木」は、神々の地からもたらされたものです。
かつてヌーメノール人にとって、白の木の挙動は、神々の意思を反映しているものだったのでしょう。
しかしヌーメノール人は次第に神々への敬意を忘れ、白の木の手入れもおろそかになってゆきました。
ドラマ第3話の時点で、すでに大半のヌーメノール人は神々への敬意を失っています。
ミーリエルのセリフも、白の木にまつわる伝承を「迷信」ととらえているような印象です。
しかしミーリエルの心中は、神々やエルフへの敬意という点では複雑だったようです。
それは、ミーリエルの前の王(父親)が、神々とエルフに忠実だったからです。
彼は、神々とエルフへの尊敬を復活させようとしていました。
(ミーリエルの父親が神々とエルフに忠実だった理由はこちら↓)
ヌーメノールの先代国王がエルフに誠実なのはなぜ?「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」より
さてミーリエルがガラドリエルを中つ国へ送還しようとしたまさにその時、白の木の花が散りました。
この時ミーリエルは「ガラドリエル追放は神々の意思に反し、国に危機が訪れる」と確信してしまったのではないでしょうか。
もし彼女に神々への敬意が皆無だったら、花が散ったとしても心は変わらないはずです。
ミーリエルは、神々とエルフに忠実だった父親の影響を少なからず受けていたということでしょう。
「白の木」のその後は……ゴンドールの???
さて、映画「ロード・オブ・ザ・リング」第三部「王の帰還」でも象徴的な木が登場しています。
ゴンドールの王宮広場にある1本の木です。
映画前半、ピピンは「パランティア(見る石)」をのぞき、この木を見ました。
ガンダルフがそれを「白の木」と呼んでいます。
白の木は王国の象徴であり、映画後半でアラゴルンが身に着ける鎧にも、このモチーフが描かれています。
戦いの間は木は枯れていますが、王が即位する時には白い花をつけています。
まるで王国の復活を体現しているかのようです。
この木は、ヌーメノールの「白の木」が移植されたものです。
ヌーメノールは中つ国とは別の島国ですが、白の木が海を超えて移植された理由と経緯は……?
それはドラマの展開にかかわる重要事項なので、ここでは伏せておきます!
(知りたい方は「シルマリルの物語・下」をご覧ください)
また、パランティアもドラマに登場しています。
和訳が「パランティール」となっていますが、ミーリエルや彼女の父がそれで未来を見る描写がありました。
パランティアが中つ国へ渡った経緯もまた、白の木と同様今後の展開に大きくかかわって来ます。