今回は、ロード・オブ・ザ・リング第2部から登場するエオウィンについてです。
彼女は美しく勇敢な姫であり、アラゴルンに想いを寄せる展開も注目されます。
指輪物語には恋愛の要素が少なく、また特に原作では、女性がほとんど活躍しません。
そんな中で、恋愛と功績の両面で抜群の存在感を放つエオウィン。
原作で彼女が初登場する章から、エオウィンの基本的な情報をまとめました。
エオウィンの年齢は?エオメル、セオデンとの関係は?
指輪戦争の年、エオウィンの年齢は24です。
彼女はエオメルの妹、そしてセオデンの姪です。
映画・原作ともに、セオデンがエオウィンを「わが妹の娘」と呼ぶシーンがあります。
エオウィンとエオメルは、物語の時点ではセオデンの最も近い血縁となります。
セオデンの一人息子セオドレドが、闇の勢力との戦いで討ち死にしてしまうからです。
映画ではセオドレドが瀕死の状態で城に戻ったり、埋葬のシーンもありますね。
原作では、グリマのセリフとして、討ち死にの事実が語られるのみです。
セオドレドが亡くなったことで、セオデンの後継はエオメルとなりました。
それについては、出陣するセオデンが以下のようにはっきりと宣言しています。
「予には子がおらぬ。……予はわが妹の子エオメルをわが世継ぎに指名する」
ただし、出陣にはエオメルも同行し、それは望みの薄い戦いとなることが予想されていました。
つまり、二人とも生きて戻らない可能性があったのです。
セオデンのセリフは、こう続きます。
「もし予ら二人が共に戻らねば、その時はそちたちの望む者を新しき王に立てよ」
これに対し、セオデンの重臣の一人がエオウィンの名を挙げます。
彼によれば、エオウィンは「恐れを知らず、勇敢で、すべての者が姫君を慕っている」。
そしてセオデンは、自分たちの留守中、エオウィンを統治者とすることを決めるのです。
セオデンはさらに、使者たちにこのことを国民に触れ回るよう命じています。
映画でエオウィンは、ヘルム峡谷に移動するセオデンたちに同行しますよね。
しかし原作では、彼女は上記のような展開で館に残ります。
エオウィンは鎖かたびらをまとい、剣を目の前にまっすぐ立てる、という姿で王たちを見送るのです。
このシーンは凛々しいエオウィンの姿が想起され、個人的にお気に入りです。
アラゴルンへの想い……原作では貴重な恋愛描写
エオウィンといえば、アラゴルンに思いを寄せるエピソードが印象的です。
彼女はどのタイミングで、恋に落ちたのでしょうか?
映画ではかなり早い段階から、彼女がアラゴルンを意識している様子です。
原作では、エオウィンとアラゴルンが初めて出会った時の、お互いの印象が丁寧に書かれています。
初対面のこの時、エオウィンはアラゴルンの隠れた力を感じ取っていました。
それが恋心に変わるのに、そんなに時間はかからなかったようです。
二人の出会いからまもなく、セオデンは出陣前の酒宴を催します。
その場面から、エオウィンがすでにアラゴルンを意識していることがうかがえます。
映画では、エオウィンはヘルム峡谷に向かうアラゴルン達に同行します。
しかし原作では、二人はこの酒宴でほんの少し言葉を交わすだけで、その後しばらく会うことはありません。
それでもエオウィンがアラゴルンに強く惹かれているのは、ここでよくわかります。
原作「指輪物語」には恋愛の描写がほとんどありませんので、この場面はある意味貴重です!
一方、アラゴルンはどうだったのでしょうか?
彼はエオウィンを気にかけてはいるのですが、それはどちらかというと、心配に近い気持ちのようです。
出会いの時点でアラゴルンは87歳なので、24歳のエオウィンとは父と娘どころか、祖父と孫娘ほどの年齢差があります。
そのことを思えば、アラゴルンの心情にも納得します。
ちなみに映画では、エオウィンはアラゴルンとの会話の中で、彼の年齢を知ります。
それでも、彼女の想いは揺るがなかったようですが。
エオウィンのシチューのお味は……?メシマズの真相
ところで、エオウィンについては一部でメシマズ=料理が下手、という噂があります。
この情報を初めて目にしたとき、そんな描写があったっけ?と首をかしげたのですが……
映画のDVDエクステンデッドエディションを観て、ようやくその意味が分かりました。
ヘルム峡谷から移動する一行が、途中で休憩をとる場面があります。
ここで、「シチューを作りました……」とアラゴルンに手渡すエオウィン。
さて、それを受け取ったアラゴルンは……?
ここはなかなか面白い場面なので、どんな展開だったのか、是非観ていただきたいと思います!
エオウィンの料理下手を思わせる描写は、私が読んだ限り原作には見つけられなかったのですが……
この設定は、のちに彼女の夫となる人物の受難など、勝手にイメージを広げて楽しみました。
おわりに
この記事は、指輪物語第二部「二つの塔・上」6「黄金館の王」を参考に作成しました。
実際はこの章にエオウィンはそんなに登場しませんが、彼女の外見や言動は丁寧に表現されています。
そこから、彼女の姿や心の動きを、鮮やかに思い描いていただけると思います!