アラゴルンには救えないエオウィンの心。ファラミアとの出会いで彼女に何が起きたのか?

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「ロード・オブ・ザ・リング」のエオウィンは私の大好きなキャラクターです。

しかし映画では(特に劇場公開版では)、彼女の戦場での活躍はしっかり描かれているのですが、

その後については曖昧で、終盤にちらっと登場するのみです。

彼女の戦いが壮絶なので、「あれ、エオウィンって死んだの?」という印象になってしまう方もいるのでは……?

個人的には、エオウィンに関しては戦場での活躍と同じくらい、その回復の過程にドラマがあると思っています。

なぜなら、彼女は戦で体が傷ついただけではなく、それよりずっと以前から、心が傷ついていたからです。

彼女は戦で瀕死の重傷を負いましたが、生還しました。

そしてその後、心も救われているのです。

本記事では、エオウィンの「心の回復」に焦点をあてます。

アラゴルンはエオウィンの傷は癒せたが、心は……

さて、戦で瀕死となった彼女を救ったのは、アラゴルンです。

それについては、こちらの記事に詳しくまとめましたのでご覧ください。

「ロード・オブ・ザ・リング」の戦うお姫様エオウィンはどのように生還したのか?

しかし彼は、自分が本当の意味で彼女を救うことはできないとエオメルに言います。

「自分はエオウィンの命の危機を救うことはできるが、

 目覚めた彼女が再び絶望してしまうなら、それは死につながる。

 その時彼女を救えるのは自分ではない」

これはアラゴルンのセリフそのままではありませんが、大体このような意味合いです。

彼はエオウィンを兄のエオメルに託し、自分は彼女の目覚めを見届けずに去るのです。




エオウィンを愛するようになるファラミア。最初の出会いは?

映画の終盤、アラゴルンの戴冠式で、エオウィンのそばにはファラミアがいます。

二人はこの時愛し合う仲で、結婚も決まっています。

原作からその物語をご紹介したいのですが、まずはこちら。

そもそもなぜエオウィンは、ファラミアと出会うことができたのでしょう?

アラゴルンの治療により無事に目覚めたエオウィンですが、だんだん入院していることに耐えられなくなってしまいます。

病院長はエオウィンをしばらく療養させておくよう指示していたのですが、彼女は早々に病床から起き上がってしまいました。

そして、なすべきことはないのか、それを指示する立場にいるのは誰なのか、と病院長に尋ねます。

さて、この時点でゴンドールの最高権力者は執政です。

アラゴルンは血筋としては王ですが、まだ正式に王の座についていません。

そして、執政デネソールとその長子ボロミアは、この時すでに亡くなっています。

すると、最高権力者で指揮官の立場にあるのは、ボロミアの弟ファラミアということになります。

ゴンドールの指揮官は誰か、とエオウィンに問われた病院長は、ファラミアの名を挙げました。

彼も戦で負傷し、病院の中にいました。そこで、エオウィンは彼のもとを尋ねるのです。

これが、エオウィンとファラミアが出会った経緯です。




エオウィンの「心が救われる」とはどういうことだったのか

ファラミアを愛し、彼に愛されることによってエオウィンの心は救われたと私は考えます。

原作では、二人が初対面からお互いに多くのことを感じ取り、特別な相手として意識する様子がわかります。

まずファラミアは、自分のもとを訪ねてきたエオウィンの悲しみと不安をすぐに読み取りました。

また、エオウィンの美しさは、彼の心にしみ通るほどであったということです。

エオウィンの方はどうだったのでしょうか?

エオウィンは、ファラミアに自分の望みをはっきり言います。

それは、戦いに出たい、自分を退院させるよう病院長に言ってほしいというものです。

それに対しファラミアは、自分は病院長に逆らうことはない、あなたは待つことに耐えねばならないと告げます。

この返答、いかがでしょう?エオウィンの性格や強い想い、これまでの行動からして、憤り反発しそうではないですか?

しかし彼女は涙は見せたものの、ファラミアの言葉を受け入れて病床へ戻りました。

エオウィンがファラミアの言葉に従ったのは、彼が信頼と尊敬に値する人物であると認めたからです。

前のめりなエオウィンに、ファラミアは穏やかに、かつ毅然と応対しました。

この時のファラミアの言葉には、彼の思慮深さと優しさがよく表れていると思います。

エオウィンの心に届いたのも納得します。

こうして、それまでかたくなだったエオウィンは、ファラミアの言葉を受け入れました。

ここに、彼女の心の変化の兆しが見えます。

その後二人は何度か出会い、想い合うようになります。

もっとも、エオウィンにはその自覚がなかったようですが……

二人の物語では最後、ファラミアがエオウィンに愛を告げ、エオウィンも彼を愛していることに気づきます。

彼女の心は晴れやかになり、やっと彼女は、心身ともに「治った」のです。

ただ、エオウィンの絶望は失恋だけが原因ではないという見解は、先の記事でも述べたとおりです。

だから、単にアラゴルンにフラれたから絶望して、ファラミアに愛されたから元気になった、ということではないと思っています。

例えば、ファラミアの「心にしみ通る」ほどの美しさとして現れたエオウィンの気高い志とか……

そのエオウィンのすべてを受け入れて愛する、ファラミアの懐の深さとか……

二人の物語から私が感じ取ったものはまだまだ語りつくせないのですが、またそれは別の記事で。




おわりに

アラゴルンがエオウィンを治療する場面があるのは、指輪物語第三部「王の帰還・上」8「療病院」です。

その場面の解説、エオウィンの心の傷についての考察は、こちらの記事です。

「ロード・オブ・ザ・リング」の戦うお姫様エオウィンはどのように生還したのか?

エオウィンとファラミアが出会い、親密になる章は「王の帰還・下」5「執政と王」です。

お読みいただきありがとうございました。

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