アラゴルンの剣が鍛え直されるタイミングは、映画と原作でズレている! その理由を独自に考察

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映画「ロード・オブ・ザ・リング」は戦う場面が多く、たくさんの戦士が登場します。

それぞれの武器も魅力的ですよね!

中でも剣は、名前がついていたりなど、そのものだけで物語になったりします。

今回は真っ先に注目される、アラゴルンの剣について取り上げます。

指輪物語の原作と映画の違いはよく話題にされますが、アラゴルンの剣に関しても明らかな違いがあります。

これはかなり意図的なものと私は思っています。

アラゴルンの剣は作中で一度鍛え直されるのですが、そのタイミングは原作と映画でかなり違っているのです。

本記事では、アラゴルンの剣についてまず解説します。

そして、原作と映画の違い、そこに見える映画独自のテーマについて考察します。

アラゴルンの剣とは?

これから話題にするアラゴルンの剣は、もとは彼の先祖エレンディルのものでした。

剣の名はナルシルといいます。

映画第一部の冒頭に、過去の戦争の解説が出てきますよね。

サウロンと人間たちの戦いなんですが、その中で、エレンディルの剣は折れてしまいます。

しかし彼の息子イシルドゥアは、この折れた剣で、サウロンの指を指輪ごと切り落とします。

指輪を失ったサウロンは敗北、イシルドゥアも指輪によって身を滅ぼします。

映画では、剣のその後は描かれません。

原作によると、折れた剣は当時裂け谷にいたイシルドゥアの息子のもとに戻りました。

これがのちのアラゴルンの剣となります。

映画では、第一部の裂け谷において、この剣が折れた破片も一緒に置かれています。

アラゴルンがそれを、敬意をもって扱うシーンもあります。

原作では、折れた剣はアラゴルンがずっと身に帯びています。

あれ、彼はフロド達に出会ったあと、裂け谷に着くまで剣で戦わなかったっけ……?

と思い原作を読み直したら、ホントに剣で戦ってないんです!

裂け谷までの旅で、フロドが指輪の幽鬼に刺される事件がありますよね。

あれは原作でも起きているんですが、その時アラゴルンは、「火のついた松明(たいまつ)」で幽鬼を退けているんです。




剣が鍛えなおされるタイミングと経緯、原作と映画の違い

さて、折れたナルシルが鍛えなおされるタイミングについて整理します。

原作では、旅の仲間が裂け谷を出発する前です。

つまり旅の最初から、アラゴルンは新しい剣を帯びているのです。

ナルシルはエルフの刀工たちにより鍛えなおされ、アラゴルンはこの剣に新たにアンドゥリルと名前をつけました。

これは、「西方の焔」という意味です。

一方映画で剣が鍛え直されるのは、第三部の中盤です。

ローハンの騎士たちとゴンドールへ向かうアラゴルンに、エルロンドが新しい剣を届けるくだりがあります。

その少し前、アルウェンがエルロンドに刀を鍛え直すようお願いしていますね。

彼女は一度中つ国を去ろうとしたのですが、アラゴルンとともにあることを決意し、彼の力になろうとするのです。




なぜ映画では、こんなに後なのか

なぜ、映画と原作で剣が鍛え直されるタイミングがずれるのでしょうか?

私は、映画には原作にないテーマが加えられているからだと思います。

それは、「アラゴルンの成長」です。

映画のアラゴルンは、初め自分が王となることにためらいを感じているように描かれます。

アルウェンとの会話の中で自分の弱さを口にしたり……

エルロンドの会議で自分のルーツが明かされると、居心地悪そうになったり……

しかしそれが、物語が進むにつれだんだんと王としての自覚を持つようになります。

要所要所で、そのきっかけとなる出来事があるように思います。

例えば印象的なのは、死にゆくボロミアに「われらの王」と呼ばれるシーン。

また第二部のヘルム峡谷の戦いで、気弱になるセオデンに反撃をうながす場面もあります。

(その後第三部で、セオデンはエオウィンとの会話でアラゴルンを指導者として認めるような発言をしています)

映画では、アラゴルンが王としての自覚を持つ過程を描く意図があったように感じます。

そして、アラゴルンが覚悟を決めたことをわかりやすく表現するために、「新しい剣」を登場させたかったのではないでしょうか。

だから、新しい剣に変わるのが映画の終盤近くなのです。

ナルシルはかつてサウロンを倒した剣なので、モルドールとの戦いにおいては希望の象徴です。

サウロンにとってはイシルドゥアを想起させる脅威であり、アラゴルンにとっては、自分の血筋を強く意識させるもの。

だから「鍛えなおされた剣」は、アラゴルンが覚悟を決めたことを表現するのにうってつけだったのです。

この「アラゴルンの成長」ですが、私は原作にはそのようなテーマはないと考えています

原作のアラゴルンからは、初めから上記のような「迷い」を感じないのです。

例えば、私が特にそう思った場面の一つがエルロンドの会議中のものです。

アラゴルンは映画と違い、参加者の前で自らイシルドゥアの末裔であることを明かします。

今回はアラゴルンの剣を焦点に、私が感じた映画と原作の違いをまとめてみました。

映画と原作の違いはたくさんありますが、この点は特に大きな違いと私は考えています。




おわりに

ナルシルが折れ、裂け谷に持ち帰られた経緯などは、「指輪物語」第一部「旅の仲間・下」2「エルロンドの会議」で、エルロンドによって語られます。

アラゴルンが折れた剣を見せ、名乗るシーンもこの章にあります。

その次の章、3「指輪、南へいく」に、剣が鍛えなおされた経緯と新しい剣の外観が書かれています。

量にして一段落分、とても説明的であっさりなので、印象には残りにくいかもしれません。

(実際、私もこの部分がどこなのかはっきり覚えていなくて、読み返しながら探しました)

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