ガンダルフがサルマンの塔から逃れた経緯には、ラダガストも関わっていた!

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映画「ロード・オブ・ザ・リング」には、こんなシーンがあります。

指輪の脅威を知り、ホビット村から旅立つフロドにガンダルフが言います。

「宿屋『踊る子馬亭』で落ち合おう」

しかし、そこにガンダルフは現れませんでした。

ガンダルフに何があったのか?

それはやがて、エルフの谷での彼の回想として明らかになります。

ガンダルフは、サルマンの塔に捕らえられていたのです。

ガンダルフがサルマンの塔を訪ね、彼の裏切りを知り、捕らわれて逃れるまで……

映画には描かれませんが、そこにはもう一人の魔法使いが関わっていました。

映画では登場しないラダガスト。ガンダルフを助けたのは……

映画のこの場面では登場しないもう一人の魔法使ですが、名前はラダガストといいます。

指輪物語の世界の魔法使は、それぞれ色を冠して呼ばれます。

ガンダルフは灰色、サルマンは白、そしてラダガストは茶色です。

映画では、旅立つフロドといったん別れたガンダルフは、サルマンのいる「オルサンクの塔」に向かいます。

その際、ガンダルフはフロドにこう言い残しています。

「わしの賢い先輩に聞こう」

指輪のことについて、より知識のあるサルマンにアドバイスをもらおう、ということですね。

そしてガンダルフはサルマンの裏切りを知り、その誘いを拒否したことで塔の上に幽閉されてしまいます。

やがて、この塔に飛んできた大きな鷲の背に乗って、ガンダルフはサルマンのもとから逃れます。

この、大鷲に乗って塔を逃れる設定は原作も同じです。

ところで、この大きな鷲には「風早彦(かざはやひこ)グワイヒア」という名前があります。

グワイヒアが飛んでくる少し前、ガンダルフが蛾を捕まえ、何やらささやきかけて放つシーンがあります。

ここで、ガンダルフの口の動きが「グワイヒア……」と言っているように見えるのは私だけでしょうか?

さて映画では、一連の過程にラダガストは登場しません。

一方原作では、ガンダルフがサルマンの塔を訪ねるのにも、そこから逃れるのにも、ラダガストがかかわっています。




サルマンに冷笑される「正直者」ラダガスト

原作では、ガンダルフはラダガストに勧められてサルマンの塔を訪ねています。

ラダガストは、ガンダルフを探して自分のもとに来させるよう、サルマンに言われていたのです。

サルマンの塔に向かうことになったガンダルフは別れ際、ラダガストにこう言いました。

「あんたの友達の鳥やけものたち全部に伝えてくれ」

「この件に関することならどんなことでもいいから、サルマンとガンダルフに知らせてくれるように……」

つまりグワイヒアがサルマンの塔に来たのは、何か情報を伝えるためだったのです。

結果的にガンダルフを助けることになりましたが、そのつもりなく飛んできたということです。

ガンダルフを運ぶグワイヒアは、こう言います。

「わたしがいいつかってきたのは知らせを届けることで、荷物運びじゃなかった」

ところでガンダルフは、ラダガストはサルマンに加担していたのではないかと一度心配したようです。

しかし、彼はこう考えました。

「かれに出会った時のかれの音声にも目の色にも、おかしいと思わせるものは何もなかった」

サルマンは本心を隠し、ガンダルフを呼び出すためにラダガストを利用したのです。

サルマンがラダガストをどう思っていたかは、このセリフに表れているでしょう。

「お人よしラダガスト!愚者ラダガストか!だが、わしがやらせた役割を果たすだけの知恵はあるようだ」

ラダガストは誠心誠意、ガンダルフにサルマンを訪ねるよう勧めました。

彼の正直さはサルマンに利用されてしまい、馬鹿にされることになりました。

しかしラダガストは、ガンダルフの頼みにも誠実に応えた結果、彼を救うことになったのです。




サルマンの塔を逃れてからのガンダルフの動向は?

サルマンの塔を脱出したガンダルフは、フロドのために奔走します。

彼がまずしたのは、早く移動するための馬を手に入れることでした。

ガンダルフが馬を必要としていることを知ったグワイヒアは、彼をエドラスに連れてゆきます。

エドラスは、ローハンという国の中心です。

映画で少し後に登場する、エオウィン姫のいるところですね。

この国は、良質な馬の産地なのです。

ローハン国王はサルマンに影響されていたので、ガンダルフを温かく迎えることはありませんでした。

国王はガンダルフに「馬を一頭やるからそうそうに立ち去れ」といいます。

そこでガンダルフが選んだのが、「飛蔭(とびかげ)」という馬でした。

飛蔭は、ガンダルフが以下のように大絶賛する名馬です。

「この世の黎明に産まれたといってもよい駿馬」

「疲れを知らず、早きこと風のごとく……表皮は昼は銀のようにきらめき、夜は物の蔭と紛い、その走る姿は目にもとまらぬ」

そして、ガンダルフ以前に飛蔭を馴らしたものはいなかったそうです。

飛蔭に乗ったガンダルフは、フロドを探してホビット村、バック郷を訪れます。

しかしどこでも、一足違いでフロドを見つけることができませんでした。

そして「踊る子馬亭」の主人から、フロドたちが馳夫(アラゴルン)とともに発ったことを聞きます。

そこでガンダルフはフロドたちをアラゴルンに任せ、自分は追手の注意をそらせようと裂け谷に向かいます。

その目論見通り、9人の追手のうち、4人がガンダルフについてきました。

映画で、裂け谷への旅の途中、フロドが追手の一人に刺されて瀕死になるシーンがあります。

その襲撃のとき、9人いるはずの追手が5人しかいません。

それは、4人はガンダルフを追っていたから、といいたいところですが……

襲撃の場面とガンダルフ脱出の場面が前後するので、正直なんとも言えないところはあります。

以上、旅立つフロドと別れてから再会するまで、ガンダルフの身に起きたことをまとめました!




おわりに

この記事は、主に「指輪物語」第一部「旅の仲間・下」2「エルロンドの会議」を参考に作成しました。

原作のエルロンドの会議では、出席者がそれぞれたくさん話をします。

指輪の歴史と発見の経緯のほか、それぞれの土地の最近の変異やゴクリのこと……

とても多くの情報が凝縮されているような章で、読みごたえがあります。

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